貴族も冒険者も恋をする! ~サンダイル世界の恋愛事情~

考察

サンダイルの世界における恋愛事情についてまとめました。ギュスターヴ編では主に王侯貴族たちの政略渦巻く結婚事情が、ウィル・ナイツ編では冒険者たちの自由恋愛が見て取れます。

ギュスターヴ編

ギュスターヴ12世×ソフィー

ノール侯ナヴァルの死をきっかけに浮上したノール侯女ソフィーとの婚約話。その結婚はバースとノールの関係を強固にし、メルシュマン統一の礎を築くことになる。

戦いと謀略の毎日を送る12世にとって、唯一の心の癒しであったソフィーはかけがえのない存在であった。それは政略結婚から始まったものだったが、12世はソフィーと過ごす時間を大切にした。

それゆえに、ソフィーを最愛であった息子とともに追放した時の悲しみは大きかったようだ。

ギュスターヴ12世×マリア

12世にとっては「新たな後継者の確保」のための婚姻でしかなかったとされる。

マリアはシュッド侯弟ベルナッド伯の息女であり、ベルナッド伯にとっては自身が兄を差し置いて権力を手にするための政治的なものであった。

12世に愛されることのなかったマリアだったが、14世がファイアブランドの儀式を無事に済ませると、何者かに暗殺されてしまう。

ギュスターヴ13世×レスリー

レスリーはグリューゲルの商家の娘であり、追放されたギュスターヴと出会ったのもグリューゲルである。レスリーはギュスターヴやフリンと対することで、術不能者の悲嘆に初めて気づき、興味を持つようになった。その後、ギュスターヴはヤーデへ移住。

3年ぶりの再会となったヤーデ伯家のパーティで、ギュスターヴは成長したレスリーを見て恋慕の念を抱くようになる。

レスリーは病を患ったソフィーの看護を申し出てギュスターヴの屋敷に移り住むことになる。母を亡くしたギュスターヴの念に触れ、レスリーは何を思っただろうか。以降、レスリーはほとんどギュスターヴと離れることはなかった。

術至上主義の打破を掲げるギュスターヴの邪魔になるまいと、自分の心に蓋をしたレスリー。

大事な人を不幸にすまいと自分の心に蓋をしたギュスターヴ。

想いあっていたであろう2人だったが、ついに結ばれることはなく、互いに独身のまま一生を終える。

フィリップ×クリスティーナ

母を奪った「術不能者の兄」を憎んだフィリップは、術力を高めることに執着した。彼の厳しい姿勢は周囲の者から「鉄仮面」とさえ言われていたが、クリスティーナに対しては笑顔を見せたといわれている。

シュッド侯ヨハン4世は、14世の叔父である自身の弟ベルナッド伯を排除するため、次女のエリザベートとフィリップの結婚を提案したが、フィリップが要求したのは三女のクリスティーナであった。

クリスティーナはシュッド侯の第三女であったが、フィリップが最も嫌うはずの「術不能者」でもあった。クリスティーナは「鉄仮面」と呼ばれるフィリップに対し物怖じすることなく、無邪気に接したという。アニマに感応できないクリスティーナだったからこそ、アニマに惑わされずに本当のフィリップを見ることができたのだろうか。

「術不能者の兄」を憎んでいたフィリップだったが、同時に「優しかった兄」のことも覚えていた。フィリップは生涯その相反する感情に苦しむことになるが、クリスティーナは「優しかった兄」を思い出させてくれる懐かしいアニマの持ち主だったのかもしれない。

マリー×カンタール

美しさと人柄に優れるマリーとの政略結婚は、フィニー王国との戦いに敗れたことを象徴するものでもあった。領地の半分を引き出物に行われた結婚は、カンタールにとって何よりの屈辱であった。

マリーはカンタールに愛されようと努力したが、カンタールはマリーを冷遇した。その愛を純粋に享受することは、カンタールにとってオートに対する裏切りそのものだったのかもしれない。カンタールはマリーを拒絶し、義父ギュスターヴ12世が死去してからは次々とほかの女性と関係を持つようになる。

ムートンらの策謀でマリー召還の令が下されても、マリーは頑として拒否するが、カンタールはこれを承諾。マリーはカンタールとの離婚を余儀なくされる。

カンタールはその後も多数の女性を愛することになる。女性はいずれも年下であったが、これは2歳年上であったマリーを実は愛していたことを認められない、認めてはならないという複雑な気持ちから来ていたのかもしれない。

マリー×ケルヴィン

ケルヴィンはナ国の家臣であったため、他国との関係を持つことはナ国の承認なしにはありえなかった。ギュスターヴに協力することができたのは、ケルヴィンの父トマスがナ国ショウ王の絶大な信頼を得ているからに他ならなかった。

しかし、ケルヴィンがマリーとの結婚を求めると、ショウ王は怒りを露わにせずにはいられなかった。自分の家臣が他国の王とつながりを持つことは、裏切り同然の行為だったからである。

ケルヴィンもこれがわからないわけでは当然なかっただろうが、マリーに対する恋慕の念は、そんな障害を乗り越えさせてしまうものだったようだ。

トマス卿も困り果てたが、「ギュスターヴのナ国侵攻を決定した場合は、ケルヴィンにギュスターヴ暗殺を任せる」ことを条件に結婚の許しを得ることができた。以降、ケルヴィンはトマス以上にショウ王に忠誠を尽くすようになる。

マリーにとっても、貴族間ではタブーとされる離婚と再婚を行うこととなったが、カンタールが好色家であったことは周知となっていたことから、それほど非難されることはなかったという。

マリーがケルヴィンを愛していたかは定かではない。12世に政治の材料として扱われ、カンタールとは自身の意思とは関係なく離婚を余儀なくされるなど、周囲に振り回されつづけた上での婚姻だったが、ケルヴィンが純粋に自分を愛してくれる初めての相手であったことは間違いないだろう。

二人は長男チャールズ、長女フランソワ、次男フィリップ3世の3人の子に恵まれるが、フィリップ3世を身ごもるとともにマリーは著しく容態を崩す。周囲に出産を止めるよう促されるも、マリーの強い意思により出産は進められる。結局、フィリップ3世誕生とともにマリーはこの世を去ることになった。

フリン×宮殿の侍女

ダイクの両親は定かではないが、夜盗にさらわれたところを助けたフリンに拾われる形で養子になる。フリンはこれをきっかけに仲の良かった宮殿の侍女を自分の家に住まわせて、ダイクの養育を任せることになる。

侍女と正式な結婚をしなかったのは、ギュスターヴと同じように術不能者である自身の子供の将来を案じてか、血のつながっていないダイクへの配慮か、いずれにせよ定かではない。

成長したダイクは、自身の父母と血のつながりが無いことにショックを受けるが、その後も一層の孝行を尽くした。

ハン・ノヴァ炎上の折は、軍を離脱してハン・ノヴァに残る義母を救出に向かい、行方不明となる。主君や義父を自身の判断ミスによって失ってきたダイクの「次は失わない」という強い決意あっての行動だろうと思われる。

フィリップ3世×エカテリーナ

南大陸の諸侯、サクス・コバーグ家の息女エカテリーナと結婚したフィリップ3世。父ケルヴィンとは違い、ナ国内諸侯間での婚姻となる。

エカテリーナはギュスターヴ15世(グスタフ)を出産するも、難産であったために死去してしまう。

ウィル・ナイツ編

ヘンリー・ナイツ×キャサリン

ウィリアム・ナイツの両親。ヘンリーはディガーの名門ナイツ家で、才能に恵まれており、キャサリンは実力も容姿も冒険者仲間では評判だったという。

ニーナ・ナイツ×ポール・コクラン

勝気で勇ましく、美しさを兼ね備えたニーナが生涯の伴侶に選んだのは、気弱で冴えないポールだった。それが逆にニーナの母性をくすぐったのかもしれない。ニーナのほうからポールにプロポーズをしたときは、本人のポールだけでなく、冒険者仲間全員が驚いたという。

ニーナは普段からポールを尻に敷いていたが、最期の言葉には、夫のポールに対する普段からの気遣いが見て取れる。

ウィル・ナイツ×コーデリア

ウィルが初仕事をするときに出会ったコーデリア。

対決アレクセイにコーデリアを連れて行かなければこのカップルが成立する。

互いに同世代の駆け出しだった彼らが惹かれあうのは当然といえるだろう。それでも結婚までに長い期間を要したのは、ウィルが生来奥手であることもあるが、やはりエッグという大きすぎる問題があったためだろう。

ウィル・ナイツ×ラベール

ウィルが初めてヴァイスラントへ向かう道中で出会うラベール。対決アレクセイにコーデリアを連れて行ってしまうとこのカップルが成立する。

ラベールにはウィルと同じ名前の兄がおり、ヴァイスラントの地で10年ぶりに再会するも、氷のメガリスでアニマを暴走させてしまい、モンスター化してしまう。

ウィルはとしては同情心から始まった恋だったろうか。兄と同じ名前で、かつタイクーンと呼ばれるウィルは、天涯孤独の身となったラベールにどれほど頼もしかったことだろう。

なお、ラベールの本名はミシェーラだが、ウィルは兄のように「ミッチ」と呼んでいたのだろうか。

タイラー×メグ

メグはヴェスティアの酒場の看板娘。タイラーはあの風貌なので、なかなか女性には縁がなさそうなものだが、酒場の看板娘を射止めるとは隅に置けない。

酒場で身近にタイラーを見ていたメグだからこそ、その奇抜な見た目ではなく、真の男としてのタイラーを知っていたのかもしれない。

もっとも、氷のメガリス踏破の2年後の結婚であったことから、タイクーンのヴィジランツとして名を挙げたタイラーに言い寄ったともとれるのだが・・・

ロドニーという男の子を授かったタイラーは後年、その生涯を終えるまで息子とともに冒険を続けることになる。

パトリック×エマ

弱冠18歳にして氷のメガリスを踏破し、タイクーン・ウィルのメンバーとしての栄光を手にしたパトリックだったが、結婚は35歳。夜の町の踊り子エマに一目ぼれしての結婚だった。

ギュスターヴが鋼装備を作り出した頃に鋼装備に手を出したり、飯がうまいと聞くと景気づけにラウプホルツまで足を延ばしたりと、丁寧な物腰とは裏腹に直情的に行動するパトリックは、恋愛でも一直線だったようだ。

レイモン×ケイト

冒険者同士の結婚は界隈では珍しくないことだった。レイモンも例に漏れず、同業者であるケイトと結婚する。22歳と比較的若い時期の結婚であり、3人の子宝に恵まれる。

引退後は北大陸の開拓村の一つに家族を呼び寄せ、余生を過ごすことになる。

エレノア×サルゴン

エレノアは才能ある若者と冒険し、成長を見届けるのが好きな女性だった。もちろん、それが若い男であるならなおさらだった。サルゴンはそんな若いツバメの一人である。

出身であるユニ村からサルゴンを冒険に連れ出したのも彼女。もともと不得手だったはずの術も、エレノアの指導でめきめきと上達していく。サルゴンはエレノアに対して尊敬とほのかな恋心を抱いていた。

しかし数年後、エレノアから突然独り立ちするよう告げられ、サルゴンの青春は終わることになる。別れを告げられたとはいえ、憧れの女性に「もう一人でもやっていける」と認められたことは、一人の男として認められたようで喜ばしいことだったかもしれない。

リッチ・ナイツ×ディアナ

ディアナはリッチの5歳年下。北大陸奥地の開拓村で大ミミズの襲撃にあったディアナは、故郷に帰ろうという親の反対を押し切り一人北大陸に残ることにしたものの、心細い感情を抱きながら途方に暮れていた。リッチに声をかけられたのはまさにそんな時だった。

化石洞窟で見つけた鉱脈の権利をすべてディアナに譲ったリッチは、その後も各地で冒険に励んでいたが、案外マメにディアナに会いに来ていたようだ。さらにリッチは、父から譲り受けたブレスレットをアンクレットとしてディアナにプレゼントしていたらしい。遊びながらもいずれは…と心に決めていたのかもしれない。

二人が知り合って10年後、ディアナは子供が出来て喜んだのも束の間、リッチとは2度と会えなくなってしまう。

リッチ・ナイツ×ユリア

リッチは行く先々で懇意の女性を作っており、ユリアもその中の一人である。

リッチが女好きで、父親時代からのお供もいると聞いていたユリアは、当初単なるボンボンだろうという偏見を持って接していたが、確かな実力と幾多の死線を潜ってきた精悍さ、富や名声にこだわらない生き様に惹かれていく。

さらに、自分の夢である散水塔の復活に初めて真面目に取り組み、かつ実現させてしまったリッチは、ユリアにとって白馬の王子様であった。

その後もリッチとの仲は続いていたが、ユリアはリッチが自分のもとに留まるとは考えていなかったようだ。ほどなくして音信不通になり、ある日北大陸でリッチが行方不明になったという噂を聞く。ユリアは悲しんだが、生涯リッチを忘れることはなかったという。

ジニー・ナイツ×仲間のディガー

ひ孫の顔を見るまでは死ねないと、101歳まで生きたウィル。そんなウィルに、ジニーはとうとう初ひ孫をプレゼントすることになる。

ジニーは29歳で仲間のディガーと結婚したようだ。この「仲間のディガー」というのが誰なのかは明言されていない。作中の最終パーティで候補になるのは「ロベルト」だけ(グスタフはヴィジランツ)である。

相手がロベルトだとすると、42歳で結婚したことになる。そこまでロベルトが結婚せずにいるというのは、彼のディガーとしての実力や女性人気から言ってありえないような気もするが、「妹」扱いしかされていなかったジニーがロベルトの心を溶かすまで長い時間がかかったとも考えられるかもしれない。

コメント

  1. えまのん より:

    大好きな作品の考察が読めるの嬉しいです。
    ありがとうございます!

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