サンダイルの世界はアニマに満ちた世界。草木や石ころにさえアニマがあるこの世界で、ギュスターヴはアニマの無い存在と言われています。
しかし、術が使えないだけでアニマはあるという人が大半であることから、ギュスターヴにだけアニマが無い、というのは不可解に思ったので、本当にギュスターヴにはアニマが無いのか考察してみました。
アニマとは?
現代のサンダイルでは、「アニマ」を術を発生させるエネルギー源と認識されています。
その一方で、「精霊」「霊魂」といった存在も、同じ「アニマ」と呼称されています。
クヴェルによる「術」という現象が発見される前から、人々は霊魂の存在を信じていました。草木や鉱物、気象現象などの自然界のあらゆる物や現象には霊が宿っており、その精霊、つまり「アニマ」が人の生死や不思議な現象に関わっていると考えられていたのです。
クヴェルによる「術」を目の当たりにした人々は、当初それが「アニマ」によるものだと解釈していました。これが古来より続いてきた「精霊、霊魂」としてのアニマと術を発生させる「エネルギー」としてのアニマが混在し同じ「アニマ」という言葉で表現されることにつながっています。
このため、ギュスターヴにアニマがあるか?ということを考えるにあたり、「霊魂」としてのアニマがあるか?ということと、「術エネルギー」としてのアニマがあるか?という混在しやすい2つの問題を区別して考えなければなりません。
ただし、この「霊魂」と単なる「術エネルギー」が本質的にも同じものである可能性も考慮する必要があります。
ギュスターヴのアニマの有無に関する証言
ファイアブランドの悲劇
ファイアブランドの儀式に失敗したギュスターヴは、父から「石ころ以下だ」と言われます。
ファイアブランドは、アニマの強い大人になってから触れるとアニマが過剰に反応し「アニマ暴走」を引き起こしてしまうため、まだアニマの弱い幼少期にファイアブランドに触れることで、ある種の免疫を付ける必要があります。
このように、ファイアブランドはアニマに敏感に反応してしまうにも関わらず、ギュスターヴが触れても何の反応も無かったことから、ギュスターヴの父は「ギュスターヴにはアニマが無い」と考えています。
一方で、サンダイル界最高の術士であったシルマールは、ギュスターヴに強いアニマを感じていたようです。
兄弟再会
テルムの地で20年ぶりに兄に再会したフィリップは、ギュスターヴから母ソフィーのアニマを感じることになります。
フィリップが母と生き別れになったのは5歳のころでしたので、フィリップが感じたアニマが本当に母のものだったのかはわかりませんが、もしギュスターヴに母ソフィーのアニマが宿っていたのだとしたら、それはアニマの無い空っぽのギュスターヴの体だったからこそ可能だったのではないか、と考えずにはいられません。
サンダイル年代記
ヴァンアーブル師が「書」を残してから800年後の歴史家エドワードがまとめたサンダイル年代記では、「アニマ無き人間などいない」とされています。
この書物では、ギュスターヴに発動させるにはあまりに大きすぎるアニマが術の発現を阻害させた、もしくはアニマに代わる何かがあったのではないか、との説が記されていました。
シルマール師はこのような人物が王家に現れたことに「運命的な何かを感じる」と発言していましたが、アニマに代わる「運命的な何か」がギュスターヴをギュスターヴたらしめていたのかもしれません。
アニマが無いとどうなるか?
ミスティの企み
エッグに憑依されたミスティは、ノースゲートで住民からアニマを抜き取る事件を起こしました。これは、人間から吸収したアニマがエッグ復活のためのアニマとして利用できるかどうかを実験するためのものです。
ミスティにアニマを抜き取られた住民たちは、やがて昏睡状態に陥り、眠ったまま目を覚まさない奇病に陥ることになりました。
住民たちは、継続的に栄養を摂取すれば肉体的な活動を維持できるようでしたが、アニマを抜き取られることで精神的な活動は困難になるようです。
一方、アニマが無いはずのギュスターヴは、意識を保ちながら活動をすることができていますので、アニマが無いと考えると矛盾が生じます。
術不能者とギュスターヴの違い
術不能者
ツールが開発される以前は、クヴェルを限られた富裕層のみが使っていました。
ツールが開発され、術を使うのが日常になっていくに従い、ツールを用いて術を使えない者がいるということが次第にわかってきました。これが「術不能者」です。
術不能者の特徴として、アニマを感知できないこと、術という現象を発現できないことが挙げられます。
術の発現方法
術を発現するためには、まず自身が持つアニマと対象物のアニマを感応させる必要があります。この感応は自身が持つアニマの総量が大きいほど、感応させることができるアニマの量が大きくなります。
アニマを感応させたら、対象物からアニマを引き出し、意思の力をもってその術エネルギーを意図した方向へ操ります。「こうなれ」とイメージすることで、自分の思い描く術を行使することができます。アニマを効率よく引き出す力が無ければ、術エネルギーを行使することができず、イメージする技術が無ければ、思う通りに術がコントロールできなかったり、アニマ暴走を引き起こしたりします。
術不能者は「アニマを感知できない」という特徴があるため、術の発現の第一段階である「アニマを感応させる」ということができないことから、術を使用することができません。
ギュスターヴの特徴
ギュスターヴは術不能者としての特徴を持っていますが、それに加えて「クヴェルを使用しても術が発現できない」ということがわかっています。
クヴェルは取り扱いが非常に難しく、ふとしたことで術現象が暴発してしまうことがある危険性があります。にも拘わらず、ファイアブランドの儀式でアニマの感応すら起きませんでした。
この点が、ギュスターヴと術不能者の決定的な違いです。
そもそも一般人が、まして術不能者がクヴェルを扱える機会は滅多にないため、術不能者にも共通した特徴である可能性は残っています。しかし、クヴェルは術者のイメージを勝手に読み取って術を発現させる特徴を持っているため、アニマを感応させられないために術が使えない者でも術を発現させられる可能性が十分にあります。
ギュスターヴにアニマはあるか?
シルマールの発言から
シルマール先生はギュスターヴに「強いアニマを感じた」と発言しています。
希代の術士である彼は、自身の持つアニマが膨大であるだけでなく、アニマを感応させる力、アニマを引き出す力、そしてそれを上手にコントロールする術を身に着けているはずです。
その彼が、数年間教育係として仕えたギュスターヴのアニマ感知に失敗するとは考えにくいことから、やはりギュスターヴにはアニマはある、と考えます。
ミスティの企みから
ノースゲートの住民がアニマを抜き取られた際、住民は昏睡状態に陥ったことから、精神的な活動を行うためにアニマが必須であると考えられます。
この点からも、ギュスターヴにアニマがないと考えるのはかなり難しいと考えます。
ギュスターヴにアニマがないとすると、精神的な活動を行える説明がつかないためです。
アニマの無い人間はいない
ギュスターヴの生きた時代から800年後の世界でも、「アニマの無い人間はいない」と断じられています。時代が進んでからも、アニマを全く持たないという人物は確認されなかったのでしょう。
このことも、ギュスターヴにはアニマがあったとの説を後押ししています。
まとめ
以上のことから、「ギュスターヴにはアニマがある」という説が有力であると考えています。
しかし、パーフェクトワークスでは、「術不能者は微弱でもアニマを有しているにも関わらず、ギュスターヴは全く有していない」こと、「ヨハンは血生臭い過去を思い出させるアニマを持たないギュスターヴに安らぎを覚えている」ことが記載されており、ギュスターヴにアニマが全くないという説を後押ししています。
「ギュスターヴにはアニマがあるのか」。この問題の結論は出ないままですが、このあたりをはっきりさせず、プレイヤーの想像にまかせてくれるところが「サガ」の魅力であるとも言えるでしょう。
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